中学も三年にあがった頃、ボクはよく義母の働くスナックに通うようになっていた。12歳も年の違う弟が駄々をこね、お手上げになったボクが母に助けを求めたのが、スナックに行きはじめたきっかけだった。行ったその日にスナックのママさんに
「可愛い息子さんたちだこと」
と言われてしまった。
確かに昔から面倒だから、と髪は伸ばした事もなかったし、中学三年になった今では、女にしては背丈もあるほうで、日常生活でも男に間違われる事が多かったから、その時は特に気にもとめなかった。しかし、ママさんの方はというと、相当ボクの事を気に入ったらしく、行く度にいろんな服を着せられ、まるで着せ替え人形みたいに可愛がられた。ボクもいい服を買ってもらえて気分がよかったし、何より母と長い時間を共有することで、はじめての時にあったしこりはゆっくりと消えていった。