「今度の日曜日あいてますか?」

まただ…会社で何回この光景を見た?

「ごめん、誤解されるようなことしたくないから。」

やつはにっこり笑って、顔を真っ赤にしている女の子のデートの誘いを断った。


顔は整ってるし、仕事は出来るし、身長もあるし、声もかっこいい

憎たらし…

モテることを別に自慢してるわけじゃないけど、羨ましいなぁ…





「茜じゃん!」

会社で馴れ馴れしく名前で呼ぶな!

「川口さん!会社では名字で呼んでください!」

今までデートの誘いを受けてたかっこいい男があたしの目の前を立っている。

「堅いこと言うなよ。俺とお前の仲じゃん」

どんな仲だよ!

「ただの高校の時の同級生で、ただの会社の同期なだけじゃんか!」

“ただの”を強調して言ってもこいつは気にしないで

「昔は響くんって言ってくれてたのに。あの時の茜は可愛かったなぁ」

恥ずかしいことここで言うな!!

「おっ、茜ちゃん、顔赤いよ?もしかして、まだ治ってないの?可愛いって言われると照れる癖」

そう言ってあたしをからかい始めた。

「うるさい!早く仕事に戻りなさいよ!」

「だったらお前こそ、ここで何してんだよ?ちなみに俺は今さっきまで会議だった」

手に持ってる資料を見せつけられる。

「あたしは…」

トイレなんて恥ずかしくて言えん!

「どうせトイレだろ?お前そっちから来し」

どうしてこいつは!知ってるなら聞くなよ!

「うるさい!ボケぇ!!」

奴にそう叫んで早足で自分のオフィスまで戻った。



今さっきの男は川口響

言った通り完璧な男…そしてあたしの高校の同級生で今は同期

大学は別だけど、この会社に入って偶然にも再会した

高校生の時と同じであたしをからかってくるし、憎たらしい!



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