幕末異聞―弐―



「局長!ここです」


二人の後ろを歩く隊士の一人が、小さな料亭の前で合図する。
頭上の掛堤燈には黒字で『吉田屋』と書かれている。

「よし!裏手に五人回れ!後は俺に付いて表から御用改めだ。部屋の隅々までしっかり確認するように!!」

隊士たちは一斉に頷く。

そして、近藤は料亭『吉田屋』の戸を叩き、店主を呼んだ。