「駕籠か…乗ってみたいな〜」


すぐそばを通り過ぎる駕籠を物欲しそうに目で追う沖田。

「何だ?総司は駕籠に乗ったことがないのか?!」

以外だというように驚いて、近藤も小さくなっていく駕籠を見た。

「乗ったことありませんよ〜!駕籠なんて高くて乗れません」

沖田は、手を拱くように小刻みに振り、微笑する。

「そうか…。よし!では帰ったら俺が駕籠に乗せてやろ「嘘ですよ」

昔から、年の離れた沖田に対して甘い近藤に、横槍を入れたのは永倉であった。

「局長、今の貴方の言葉はおそらく、総司の思惑通りのものです」

沖田をちらっと見て、永倉は眉を八の字に寄せる。

「そ、そうなのか?!」

「あははは!なんですか永倉さん?人聞きの悪い」

困惑する近藤の目と、顔は笑っているが目が笑っていない沖田。二人の視線を同時に受ける永倉は、思わず目を瞑って歩く。

「総司は単にお菓子を買うから万年金欠なわけであって、駕籠に乗ろうと思えば乗れるんです」

「なるほど」

「もう!!永倉さん酷いじゃないですか!!」


(((局長騙そうとしたあんたは酷くないのか?!!)))

膨れっ面で拗ねている沖田に、隊士たちの心の突っ込みが入る。

「まあまあ!とりあえずそれは置いといて。皆はどうなのだ?」