「ぶふッ!なははははッ!そ、そんな必死になんなくっても…ただの冗談ですよ!」
折角手拭いで拭った藤堂の額から再び汗が噴出している。沖田はそんな藤堂の姿に、呼吸困難になりそうなほど爆笑し、土の上でもお構いなしに腹を抱えて蹲る。
「冗談でも言っていい事と悪いことがあるだろ!!馬鹿総司ッ!」
頭から蒸気が出んばかりの勢いで声を荒げる藤堂の顔は、尋常でないくらい紅くなっていた。
「もういい!!総司なんか心配した俺が間違ってた!」
怒りと恥らいに肩を怒らせつつ、藤堂は手拭いを頭に乗せてぎこちなく中庭を去っていった。
「コホッ…コホッ…結構きついなぁ」
近くに誰もいない事を入念に確認し、井戸に手を掛けてしゃがむ沖田。更に濡れた手拭いを口に押し当てて音が漏れないように意識しながら乾いた咳をする。
その顔は、とても血が通っているとは思えないくらい蒼白となっていた。