爽やかな五月の風が吹く、ゴールデンウィークの最終日――


私はこの日、初めて彼の自宅を訪れた。


見合いでも婚約でもないけれど、やはり失礼にあたるような服装では……


と考え、白のワンピースに濃紺の七分袖のカーディガンという無難な格好に落ち着いた。


出迎えた彼の両親は、私をとても歓迎してくれた。 

「まぁまぁ、よく来て下さったわね。いつも伸也からめぐみさんのことは聞いてますよ。ほんと可愛い人ね」


見るからに、優しくて上品そうなお母さんは、そう話し、私を温かく迎えてくれた。 


一方、口数が少ないお父さんには少し緊張したが、お酒が入ると、陽気な人になった。 


「いやー、伸也にこんな素敵な彼女がいたなんて、驚いた!お父さんが代わってほしいくらいだよ。アハハ…」


と、声高らかに笑っていた。