トゥルルー、トゥルルー―……


しつこいくらいに鳴り響く懐かしい黒電話の音が、私の大切な睡眠を邪魔する。   


もう、煩いなぁ。


もう少し寝かせてよ!


寝呆け眼で布団から顔を出すと、手探りでそれに手を伸ばし、探り当てた。     


「人の睡眠、邪魔するな!」


ピッと親指で押した途端、ピタッと音が鳴り止んだ。


再び、部屋の中は静寂に包まれた。



「うーん、もう少し寝よう」

再び、タオルケットに身を包(くる)んだ。