くじら










「…むしろ好きだから近付きたくないんです。」





「へ……?」



鼻をすすりながら
私は聞き返した…。




「好きだったらいいじゃない……ですか。先生」





先生はふっと笑った。




「――君はわかって物を言ってるのですか?この時代にそれだけでは、結婚なんて出来ません。家族も友達も君は棄てれるんですか?」






「……」




出来ないでしょう?
と言う代わりに笑う





君はすてれないでしょう。



「……捨てなくていいんです。それが普通の選択ですから、」