「…そういうものよ。瑠璃子さん、初めはわからないけど、だんだん考えていくの、その人の事…。」






「聡子さんは、…そんな気持ちになった事あるんですか?」





聡子さんは あと一ヶ月もしたら お嫁に行く





親の決めた人の元に。



「あるわよ、…好きで好きで堪らなかったわ。…逃避行までしようかって考えたのよ…、でも駄目だったの。…その人のお家が危なくなってしまって…、私何も出来なかったわ…。金持ちの癖に…」





「聡子さん。」




ふ と思い出したように笑った




「……あらあら、涙が…」



ポロポロと聡子さんの
眼から涙が出てきた




金持ちの癖に…。






かなわない戀だった。




「…もう平気だと思ってたのに……嫌だ。ごめんなさいね、瑠璃子さん…」