くじら






こういうこと。







「……先生」




心臓の音が 聞こえる


心は素直なのに

口に出す言葉は嘘に聞こえる



「……貴女の見てる僕はどんな僕ですか。いつでも優しい、藤堂先生?」




一瞬振り返ると
先生は笑っている。





何か諦めたみたいな笑顔






「……失礼しまし…た。先生っ、」






居たたまれなくなった






私は 先生を見ずに
外に飛び出した







先生は追っては来なかった







何をどう考えたら
いいのかわからない…


















「…瑠璃子さん。聞いてらっしゃる、」





「あ、はい。すみません…、聡子さん…」



聡子さんは
どうかしたのと聞いた






「いいえ。…その、」





―僕はどんな僕ですか?