ある日 私は母様に
頼まれ先生の家に 行った
「藤堂先生…いらっしゃいま…」
引き戸を 開け尋ねた。
「――わ!」
急に 大声が聞こえてきた。
ドカドカと音を 立てて
足音は近付いてきた
「最低なお人だわ!」
着物が少し乱れてる。
髪も慌てて
纏めたのかほつれてる
女の人は バッと私の方を見た。
「……っ、」
顔を赤く
したまま出ていった
何事…なの?
踏み込むべきなのか
わからない
「……瑠璃子さんですか?どうぞ…」
声だけして 姿は見えなかった。
「…お邪魔いたします、」
手土産を抱えてそろそろ中に入った
別に 怖いもの
なんてないのに…
部屋に入ると 先生がいた
「何事ですか、さっきの方も怒ってらして…、」
背中を向けた
先生に私は尋ねる
「………」

