くじら





「僕のせいだね」







先生がどこか寂しそうに見えたのは


今から死ぬとわかってるからだろうか…






「…瑠璃…」





「その男から離れなさい四条瑠璃子さん。」






後ろから聞き慣れない声がした





声の主は知らない人だった



ぞっとして後ろを見ると
人が集まっていた






「先生…」



「…豊叔父さん」




「…綾部家や二階堂家をたらしこんでこんな寸劇をして…何を考えている」




「……僕の最後の宴ですよ。最後くらい派手に終わらせたいのが人情じゃあありませんか」




「白鴉をやめるというのか?そんなことが…」




言葉を言う前に先生が遮った



「…澄さんはもういいと言ってくれましたよ。三高幸隆氏も…もういいと、新しい時代が来ていると。」




新しい時代…?



澄さん…、





先生は澄さんと話してきたのかしら…





先生は私の手を握ったまま離さない






急に心臓がドキドキしだした






最後…











まるでお芝居の様だ…