くじら










先生はふっと笑顔になった





「…」




「お別れの言葉みたいです…先生。」




「…大丈夫。必ず僕は君の所に戻ってくる、」





歩こうかと先生は私の手を握った






こんな事態なのにまるで
ただ散歩しているみたいだ






薔薇がきれいに咲いている。



雲に隠れた月が出てきて花の色をさらに輝かす






先生はゆっくり歩く


全てから解放された先生は
ただの身分の高い二枚目の男性みたい





陰みたいな部分はもうない




「…先生」


「ん…」



「……わたし、」




先生



“あなたの隣にずっと居たい”




口に出したいけど言えない。




「…瑠璃子さん。全てが片付いたら僕のお嫁さんになってくれませんか?」




「え…」





先生が照れたみたいに横を向いた



「駄目だ…気が早過ぎたな。……すいません、」




「……ほんとうですか、先生、」