くじら












薔薇園はすぐ近くだった




「先生…」



辺りを見るが先生はいない





もしかして捕まってしまったのかしら





「…なんて顔をしてるんです。瑠璃子さん」



「…え……」










正面を見たら先生がいた


「…せ、んせ…」



「追ってをまいていたら遅くなりました…織人君や雅昭様、静加も協力してくれてどうにか逃げられました」




先生にかけよりたかったけど足が動かなかった






それがわかってか先生は私の方に歩いてきた



「……先生」




「…はい、」






「…本当に先生なのね、」





「僕に偽者はいませんよ、瑠璃子さん」






にこりと笑った


私は先生に抱きついた





「…どうしたんですか、」


「…どうもしません」






良かった


会いたかった






たった数分なのに彼が離れていっただけで不安になった





先生はすぐ消えてしまいそうだから





「ごめん…もう大丈夫だよ。するべき事は終わったよ、残すは…あと一つ……」




「あと一つ…?」





先生は ふっと笑った