私は榊さまと一緒に 暗い地下を歩いていた
彼が没落してからいままでの事をポツリと話し出した
「父の…会社の部下に密偵がいたんです。密偵はある組織の人間で…気付いた時には父の会社は負債まみれで…屋敷もなにもかもが差し押さえられていました」
「…父はうなだれながら“白鴉にやられた”と言ってた…僕も初めはなにか分からなかった。…とりあえず遠い親戚の綾部家に預けられ…働きに出た頃にそれが何か分かりました。藤堂先生、自ら僕に会いに来られたんです…」
先生が…
コツコツと足音は淀みなく進む
先生は大丈夫なのかしら…?
「彼は僕に謝ってくれました。“済まないと”…けど僕は納得出来ませんでした。大事にしてたものを滅茶苦茶にされた挙げ句、家族までバラバラにさせられて…彼に怒鳴り散らしました…」
「…榊さま…」
「…納得なんか出来なかった。いくら謝られてももう無いんだから…」
先生…

