「家自体は潰れたけれど僕はどうにか遠縁の親戚を頼って使用人をやりつつ勉強をさせてもらっているんです…」



先生は後ろを歩いていく
顔をちらっと見たら泣き笑いみたいな顔で私を見ていた


「そうだったんですか…」






知らなかった



「…すいません、」


「何故あなたが謝るんです…僕はむしろ没落して良かったと思っています。大事なことに気付けましたし…」



さらりとした口調でコツコツと先を歩く


「はい…でも、何故…」




「…彼はたまたま綾部家の管轄下で働いていて…だから雅昭さんがこの作戦の為に引き抜いたんですよ」



雅昭様が…


「君に話をしなくてすいませんでした…」


「いいえ…」



複雑な気持ちだった…


先生が榊家を没落させた
けど完全には落とさなかった





わたしの婚約者だったから



「…失礼ですが榊さん道はあっていますか?」



「えぇ大丈夫…です。以外に単純な作りですし、」




先生は榊さまとは普通に話している


榊さまは没落された側なのに平然と対応してるのが不思議だ…



どうやって仲良くなったのかしら…



普通だったら憎むべき対象の人なのに