「え…静加さんとですか?」




「彼は兄しか信じていないと言っていました。兄をあんな風にした藤堂家なんか…滅べばいいと。」



滅べばいい





「…静加さんがそんな、事を」




「あまり余所の家の事は詮索したくありませんが、…藤堂家は厳しい家柄で有名です。そう考えたらそう思うのも無理はありません…」



織人さんは ふうと息をはいた




兄さんは変わってしまったけど


今も昔も 優しい兄です


唯一厳しかった
家族の中で兄はいつも優しかったんです



当たり前に褒めてくれて
当たり前に甘やかしてくれた…





兄に人間にして貰ったようなものです



だから僕は兄になにか
あったら必ず力になりたい




そう約束をしました…




先生を 須藤家近くで
待っている間静加さんが話してくれた





「静加さんは…、先生の事が誰よりも大事だからそういわれたのかもしれないです…」




「…。」





織人さんは 黙ったままお茶を眺めていた