「久白君、本当にお家を継ぐの?」
「…はい」
澄さんは
心配そうに尋ねた
「本当にいいの?」
「仕方ないじゃないですか。」
澄さんはふっと笑った。
「…お父様には仰っていないのね?教師になる…事」
「……」
「誰も貴方の事笑ったりしないわ。立派な夢なのに…」
「そう言ってくれるのは澄さんぐらいだよ」
「…お父様も仰って下さるわ。」
にっこり笑った
「國部…。父上は?」
「旦那様は今日は遅くなられるみたいで…」
「そうか。」
國部は聞き返した
「何かご用が、おありですか?」
國部に用事を言ったら
わかりましたと頷いた
そのせいか父は
結構早く帰ってきた
僕は父の部屋に行き
教師になりたいと言った
父の前で。
「本気で言っているのか?」
「不用意な言葉は口にしません。本気です」
父は僕を
見たまま黙っていた
「…三高様の影響を受けてか?彼に色々學んだらしいな」
「はい…。」
「家はどうするんだ、静加に継がせるのか?」

