いつの間にか 寝ていた。


ガタンと音がした
彼女が帰ってきたのだろう






僕は知らないふりをした






カタンカタンと
階段を登る音がした。





ガラと扉があいた。
僕は寝たふりをした





「久白君。寝てるのね…そうよね、今日同窓会だったの。女学校時代の…皆変わってなかったの」





背中を向けた
まま彼女は僕に話す




「盛り上がったのよ。けどやっぱり、歳をとったのね。子供の話が出てね…。私話に入れなかった…仕方ないのよね」






澄さんは 言葉をきった



「…ごめんなさい、どうしても誰かに聞いて欲しかったの…。」







僕は、
くるりと寝返りをうった




「澄さん。」



「……起きてたのね。」






「話を聞いてくれる人くらい沢山いるでしょ」




澄さんは首をふった





「…言えないわ。」




「じゃあ何で僕に、」


「貴方なら、話してもいいと思ったのよ」






ふっと笑った…


話してもいい?


「泣いてくれたでしょう。私の為に、あなたは優しい人だわ…」


「優しくなんかない」






澄さんは ちょっと
困ったような顔をしていた