くじら



その日以来、苛々する事は少なくなった






彼女は全部分かってそれでも 生きている





笑ってる姿が痛々しいと感じた















「久白君。お手紙がきていたわよ、御父様じゃない?」






手紙を渡された。
宛名は確かに父の字だった




「読まないの?」


「あとで読むからいいです。」




澄さんは手紙を眺めていた
















「久白君は、将来はどうするの?」



「大学にいきます。国語の分野にいきたいです…その後は多分家を継ぐ…」






「継ぎたいの?」




澄さんは 優しく聞いた



「…多分。僕が長男だから、」




家を継ぐ。


いつからこんな変な制度が出来たんだろう




迷惑極まりない制度だ。



家を継いだら自分のしたいことが出来ない






この時から僕は先生になりたいという夢はあった




あったが、…
一方で家を継がなくてはという気持ちがあった






揺れていた。



「久白君も悩むのね?たくさん悩めばいいわ。悔いなんて残さないように…ね」










悩んで出した答えを父は承諾してくれるだろうか







わからない。


あの人は、きっと反対するはずだ…