「あなたの名前、普通に呼べばくじら君なのよね。」
「…まぁ、祖父が付けたらしいです。」
弁当を平らげ松の木の下で海を眺めてた
「…そういえばあなたはそんな感じだわね。」
「は…?」
「くじらは海の王様で、海で暮らしてるわ。話しもしない、ただ其処でしか生きれないから生きている」
澄さんはにっこり笑った
「…僕と関わりありますか?」
「…鯨はお喋りしないわ。そして仲間といることも少ない…、その癖に海の中ではとても大きな……無視出来ない存在だわ。」
あなたと似てない?
と澄さんは呟くように言った
「……わからない」
「似てるわ。あなた、」
澄さんは消えそうな声でいった
「じゃあ澄さんは、何ですか…」
そう聞くと彼女は笑って誤魔化した
「あなたが分かったら教えてちょうだい」
その海の日以来僕は彼女が気にかかった
そして先生はだんだん家に帰らなくなってきた

