くじら










「……先生、」






物音のする部屋はない。

はぁ…






キィと寄りかかった
ドアから音がした




あら……



ここは開いてるの…





ドアを開け、中に入る


薄暗く 埃っぽい…






「………だ。」



「…………、」






話し声がする。


小さい声






手探りで部屋を歩くと続き部屋のドアを見つけた





ドアの隙間から小さな灯りが漏れてる





「……、」


そっと部屋をのぞく













「お前のせいで、俺は没落して…。使用人扱いだ…、」



「俺を恨むのは筋違いでは?没落したのはお前の運命だ…、そこまで責任もてるか」




誰かが言い争っている声




聞き覚えがあるわ、






先生の声…


なぜここに……




そんな事よりも、




「……邪魔になったから潰した癖に。いいよな大きな家は!小さい財閥がいかに苦労してるかわからないだろ。」






「―わからないね。」




ひどい…


先生はあんな悲しそうな顔で笑うのに




この人はそれを知らない

助けなきゃ…でも、








「……愚痴を言いたいなら他をあたれ、俺は帰る。いつまでも停電させる訳にはいかないんじゃないか?」