くじら


「偶々…お爺様の誕生日とかぶったらしくて。俺だけです、代わりに麻里が…」



舞踏会場の廊下に出て話した。




麻里さんは織人さんの隣にいる



「…父様に頼んだのよ。私も出させてちょうだいって、ね兄様」



ハイハイと織人さんは頷いた





「…瑠璃子さんは一人ですか…?お相手は」


「残念ながら、」




そうですかと織人さんは言った



「兄様がお相手すれば、」

「麻里。」




「だって舞踏会で一人て嫌じゃない。どうせ兄様、女の方と踊らないし…、綾姉様はいないし。…ねぇ…」




麻里さんの提案はもっともな意見だ。


確かに一人は寂しい…かも








「それになんか不安なの、四条様についててあげないと、…」





はぁと織人さんは言った



「…わかったわかった。瑠璃子さん、よろしいですか」





「はい…すいません」





あっさりと提案を受けた



妹さんには色々弱いのかしら…







「…可愛いいですね、…えと麻里さん」



「はぁ……。まぁ外面がいいだけです。」






織人さんははぁあとため息をついた。