「そういえば手首も…、それに夏なのに長袖を…」
まさか。まさか…
「…何かありそうだ、調べますよ。報告はしますから下手に探らないで下さい。」
「すいません、」
いろいろな事が
いっきにあり過ぎて
わからなくなる
先生の事…
聡子さんの事…
「…先生っ?」
デパートから
半刻で家に帰ってきた
先生が家の廊下にいた
「…お邪魔してます。」
「はい…びっくりしました。」
先生はにこりと笑った
「ちょっと用事があって…来ました。君は出掛けてたんですか?」
「はい、資生堂に行きました。アイスを食べに…綾子さん達と」
楽しそうですね、と言った
「先生は…父様にご用事があってですよね」
「えぇ…、あと少し時間がかかるらしくて」
きっと、
財閥つぶしの事だわ。
どちらにしろ
私には聞かせられない話
父様はそういう所が狡い
私には教えない。
清く正しい娘で
あって欲しいから
汚い事には関わらせない
先生をいいように
使っている…

