くじら




「…仰っていいですよ。先生…」





先生は、ぽつりと言った





「――何も聞かずにこうしてて欲しい。」







「わかりました」





すがりつくように
抱きしめる先生








「…君に僕の事を話すと言ったけど、無理かもしれない。」


「何故ですか。お家の事情…ですか?」









「ただの僕の…私情。本当は…、君に離れていって欲しい。けど本心は、傍にいて欲しい…」





「……先生」






ふっと先生の
息づかいを感じた




「何を言ってるんでしょうね…。僕は」




すっと
わたしから身体を離した






「…二階堂さんは、随分長い用ですね。やっぱりいい生徒だ」





立ち上がり
何事もなかったみたいに



先生は廊下に行った









傍にいて欲しい…
けど、