くじら





























「藤堂先生いらっしゃいますかぁー」






放課後に私は綾子さんと
先生の自宅に行った



ガタンと

音がした後
玄関はカラカラと開いた




「……こんにちは。四条さん・二階堂さん」



先生は ふっと
笑いながら迎えてくれた





着物と髪の毛が
少し乱れていた




「先生大丈夫ですか?すいません、急に来てしまって…」





「大丈夫です。もうなおりましたから、中へどうぞ…」




















「すいません。丁度、女中が出掛けてしまって…」



「気になさらないで下さい。先生…、ね瑠璃子さん」






「えぇ…。」




先生はそうですかと言った




体調は悪くはなさそうだわ



「あ、私御手洗いをお借りしてもよろしいかしら」



「えぇ、そこの廊下を右です。…」






綾子さんはパタパタと走って行った





二人きりになってしまった…






「ありがとうございます、見舞いに来てくれて」



「いえ、体調は大丈夫ですか?」




先生はえぇと言った




「二日酔いて仰ってましたけど、昨晩お酒を…」



当たり障りのない
会話をしようと思って



口から出た。



「つい飲み過ぎてしまって、気分悪くなったんです。普段飲まないんですけど…」



「何故か聞いてもよろしいですか?」