くじら




「けど違うだろ。言われた通り動いてる奴な訳ないだろ。……流れるまま生きてるなよ。藤堂、」






「……すまない。倉田、」






謝られたら
何も言えないじゃないか




俺は黙って酒を飲んだ。



「こうなるなんて、俺が一番予想出来なかったよ。倉田。…あんな下らない事する為に、大学行ったわけじゃない…」





藤堂は小さな声で話した






「…わかってる。自分のしてる事。あの子に優しくするたびに、罪悪感を感じるんだよ。いかに自分が汚いかが分かる…」





「汚いとわかってるなら、お前はまだ良心がある。…やめられるんだよ…、」




ふっと笑いながら頷く





「……そうだな、」






藤堂はあおるように
酒を飲んだ。