くじら




俺にも出来ない…というかしたくもない。



大企業や政治家を没落させること…





なぜやらされるようになったのかは



はっきりとは知らない。



弟・静加が家を継いでる事に関係がある










―私にどうにか出来るんでしょうか?



そういえばあの子は不安そうに聞いてきた




俺は、背中を押した。信じさせてやれ、と




言うのは簡単だ
実行するのは難しい。





「…藤堂、俺はあのこの背中を無責任に押した。すまない、」


「……倉田?」





けれど、



「誰かにお前の事を助けて欲しいと思ったんだよ。」





「倉田…俺は平気だよ。だから…」





「お前は一生そうなのか?ヘラヘラ笑って建前で話して…、誰も信じないで、つまらないまま死んでいく…。違うだろ?」






無表情で俺を見る






高校の頃はこういう人間じゃなかった





ヘラヘラ笑ったりしない冷静な顔をしてた。



嫌いな人間は嫌いだとはっきり言う。





将来を真面目に考えていた。




「……お前がつまらない人生送りたいなら何も言わないし、口出ししない」