くじら














「倉田。」




俺は藤堂にようと手をあげた



藤堂は俺の向かい座敷に座った




「久しぶりだな、お前が飲みに誘うなんて…」



「たまには良いだろう。」




藤堂に酒をつぎながら笑う





「…相変わらず。だな、女学生はほぼお前の話してるな、この色男め」



「…今だけだ。物珍しいからだよ」



スッとおちょこを持ち酒を飲んだ





「なぁ……、藤堂聞いていいか。四条の娘さんとの事」




「……いいよ、倉田。」




酒飲みは口実で聞きたかった事があった




四条瑠璃子。



「なんだ、その本気なのか…。あの子の事、もてあそんでるんじゃ無いよな」




「…今は好きだよ。もてあそんでるつもりは無い。」






大事なのに何でも無いみたいに話す




藤堂の悪い癖だ。


それで人を落ち着かせようとしてる





「……まだ例の仕事もしてるのに?俺の耳には“白鴉”の噂が入らないとでも思ってるのか…」




ジッと見たあと笑みを浮かべて話す






「思ってないよ。仕事だと割り切ってるから…。心配するな、倉田。」




俺はつまみをとりながら飲んだ






こいつの仕事。





誰にも出来ない