「勿論。いざとなったら綾部伯爵の権力でね、どうにか出来るわよ!」
「事と次第によるけど……まぁ、協力するよ。綾さんの友達だし」
私を見て ふっと笑う
織人さんはやっぱり
先生に似ている。
笑い方とか、
でも僅かに違う。
―…誰かを、
―人を信じてるところかしら
「…大丈夫?」
「え、あ…織人さん。」
あれから何時間か話しをした。
綾子さんは
必死になりながら、
絶対言わないから。
を繰り返してた、
帰りの馬車を待つため
一階の玄関ホールに降りてきた
「……先生と付き合うの大変じゃないかて。―綾さんは羨ましがってたけど、現実は難しい」
「…えぇ。」
難しい…でも、
「…まぁでも、好きなんだから。仕方ない」
織人さんは
はぁと息をついた
伯爵の子息らしからぬ
変わった言葉
「その言葉は織人さんの本心ですか?…綾子さんに対しての」
「……そうかな。綾さんにだったら振り回されてもいいと…思う…、多分」
考える顔は和らいでいた
「…瑠璃子さぁん。馬車お着きになったみたいよ」
綾子さんの明るい声がした
私と織人さんは
顔を見合せて笑った

