くじら





「遅かったな…綾さん、」



「お菓子焼いてる最中だったから、待たしてごめんなさい。瑠璃子さん」




私は いいえと首をふる



お盆には美味しそうな
クッキーがのっていた





「瑠璃子さん大丈夫だった…。二人きりで、織人さん人見知りだから、」



綾子さんはお茶を
いれながら聞いた




「いつの話だよ、人見知りて。大分昔じゃないか…」




ジロリと綾子さんを睨みつけた



「あら失礼。そうだったわ」



わざとらしく
綾子さんが言った





「…仲が本当に良いのね。綾子さんと織人さん」



素直にそう感じる
単純に羨ましいと思った





「まぁ…、婚約者だから。一応は…」



織人さんは ボソッと言う



綾子さんはクスクス笑った。



「それより、瑠璃子さんはどうなの?…」

「どうって…」



ずいっと身を乗りだした



「私誰にも言わないわよ。藤堂先生と恋人だって事」





やっぱりばれてる。


「藤堂…?あぁ、政治界の藤堂か…凄いな」