くじら





聡子さんの控え室は…








「瑠璃子さん。」




「え、あぁ先生……」





わたしは間抜けみたいに
口をポカンと開けていた






洋服を着た先生が歩いてきた…から






似合う…



「広い所ですね。…瑠璃子さん?」



「ああぁ、は……は、はい。先生」





先生はうっすら笑った


「僕が洋服を着ていたら可笑しいですか。」





「違います、違います、……とてもお似合いです」



首を振りながら私は慌てて言った



「君も似合ってます、」





「ありがと……」








「久白兄さん…と瑠璃子さん。お久しぶりですね…」



昴さんの声



案の定先生の近くにいた




「昴、君も呼ばれてましたね。確か新郎側の知り合いで…」



昴さんは笑顔で近付いてきた




「そうですよ。なんと言うか世間は狭いですね、瑠璃子さん」





「そうですわね。」


素っ気なく返した。

一応人の目があるから仕方ない





「君は挨拶まわりがあるんじゃないですか?君の彼女達に…。」



にっこり笑い先生は言った






「……あぁそうですね、じゃあ。」







昴さんは あくまでも笑顔を絶やさずに離れて行った