くじら




「…会社がつぶれたって…。ピンとこなくて…、」






好きではなかったけど
少し気になる。




一応昔から、
付き合っていたし




優しかったかは分からないけど…



「…そうですか。」

先生は言った





「あ、あの別に好きではないですよ、先生。ただ、ちょっと気になるだけで」




「分かってます。…ですが、あまり気に病まない方がいいです。倒産というのは仕方ないものですし…」






仕方ない、



確かにわたしが気を揉ん
でもどうしようもない





できることはないのに…。







「…わたしって何も出来ないのね、本当に…、」






幾ら金持ちだって

幾ら心配したって




わたしはまだ子供





こういう時だけ
大人になれたらいいのに…




でも大人だったら、
助ける力はあっても




…気持ちがなくなる



助けたい気持ちはなくなる





「……ちゃんと榊さんを心配してるじゃないですか。」






先生はにっこり笑い頭を撫でた