くじら













「瑠璃子さん。」



「綾子さん…。本借りられたの?」




図書室近くを
ブラブラしていたら

綾子さんと顔を合わせた




両手で本を二冊持っていた



どちらも洋書の本だわ




「えぇ、勉強してるの。将来は留学出来たらって……内緒ね」



ふふと笑った

綾子さんが留学



納得だわ。
英語の成績はいいもの



「ねぇ瑠璃子さん、見間違いだったらごめんなさいね。…昨日公園で藤堂先生と居なかった?」





え!まさか…





「えぇ……と、その、…」




昨日は居たんだけど…
どうしよう




どうしよう


先生…

「あ、……綾子さん、そのぅ…」


綾子さんはにやりと笑った



「ごめんなさい。……気のせいだわ、」





綾子さんは パタパタと
走って行かれた





ばれなくて…良かったわ







「……彼女は大丈夫ですね。瑠璃子さん…」





また後ろから声がした




気配が全くなくて
気付かないわ、