君色ジンジャーティー

そして。
何事もなく宿題が終わった。

こんこん、とノックされる。
軽く一言だけ返し、入るように言った。
母が柔らかい笑みを浮かべたまま部屋に足を入れる。

「そろそろお風呂、入っちゃいなさい」
「はーい」
「ほいほい、っと」

開いていた少年漫画を閉じ、机に置く。
妹の手をひき、風呂場へ向かうことにする。

雛子はまだ一人で入れないため、私と一緒に入っている。
たまに母と入っていたりするが。

「あ、ボディーソープならドアの前に置いてあるわよ」
「さんきゅ」

私は振り返りもせず、そう言った。
雛子はるんるんといった様子で歩いている。

さて、いつになったら一人で入れるようになるのやら。
お姉ちゃんは心配だよ。

大きく溜め息を吐いてやると、雛子は純粋な輝く目で私を覗きこんできた。
「なにかおなやみー?」
お前だよ、お前。
なんて、妹に若干甘い私は言えずに首を横に振るのであった。