わたしは部活をサボって、毎日おじいさんのところに行くようになった。

おじいさんはいつも1人で本を読んでいて、わたしが行くと必ずお茶とお菓子をだしてくれた。

誰にも教えるつもりはない。

だから今日も足取りは軽い。

でも、部活をサボりはじめてから、何かが抜け落ちたような気持ちがしている。

―バスケしたい

うつ向いてため息をついた。

その時だった。

「何してんの、こんな時間に」

ハッとして、顔を上げると―絵美ちゃんがいた。

クラスのというか学校の人と話すのはホントに久しぶりで、思わず泣きそうになった。

絵美ちゃんはわたしを見て、それからふうんと笑って、言った。

「今、時間あるの?」

思わずうなずいた。

絵美ちゃんの周りは不思議な空気が漂っていた。

「じゃあわたしに付き合えば?」