君の影をみてる〜幼なじみの恋〜

スイッチが入ったように、
恭一の身体が、グンっと前に出た。

「スゴ〜い!凄い凄い!」

目の前で、ゴールの瞬間を見た私は、感動で、興奮冷めやらぬといった状態。


両手をあげ、トラックを歩いていた恭一は、
突然、クルッと向きを変え、こっちへやって来て、

「やったぜー。」

無邪気に微笑えみながら、ピースしてみせた。


「走り出し早すぎっ!」

「おお!ギリッギリ!」

「も〜!力尽きたよ〜」

照れて、しかめっ面をするしかないでいると、

「お疲れ!頑張ったな!」

そう言って、
私の頭を、クシャッと撫でて、去っていく恭一。

ホントなら、飛びつきたい気分だった。


リレーの得点が加算され、Β組は、みごと優勝に…

代表として、3年が表彰されるのだが、

誰が言うまでもなく、
恭一と私が押し出され、
ふたり揃って台に上がり、トロフィーと景品を受け取った。


「まったく、見せつけつてくれるよねー。」

わざわざ、からかいにやって来た鈴ちゃんは言う。

「ねー、北村って、今やスターじゃない。そんな彼氏を持つ気持ちって、どんな?」

「どんなって…」

「ま、上手くいってて、なによりですな〜。」


本当は、怖いくらい、恭一を好きになっていた。

好きすぎて、ひかれるんじゃないかと、
素直に態度に出せないことを、

誰にも相談できずにいた。