すねた態度の恭一に、私はドキドキしていた。

「いつから?」

「…なにが?」

「なんで隆志って呼ぶようにしたの?」

とっさに恭一の腕をつかんだ私は、力一杯握り締め、自分の息を整えた。

「な、なぁに〜、全然キャラじゃないよ〜。」

「…」

「だって、いつまでも“たー君”じゃ、おかしいでしょ!きょーちゃんは、そのままでイイって言ったじゃん…忘れた?」

「覚えてない。」

「じゃあ!…じゃあ、忘れないで…あたし…好きだから!きょーちゃんのことを…あたしが好きなの!」

「…みっ」

「だから、きょーちゃんは、どんと構えてて!…キャラじゃないんだから。」


私は、恭一からは何も言わせなかった。

そして、“つきあう”とか“約束ごと”とか、一切話しないまま、
恭一に見守られて家の中へ入り、
窓から彼を見送った。

なぜなら、恭一が、檻の中で納まって居られるなんて、考えられなかったからだ。


次の日からの学校でも、何も無かった様に振る舞うふたり。

そういえば、
軽くチョッカイを出してくる様には、なったっけ…。