「チョコ…くれるとか?」

「へ!な、なんで?」

「バレンタインだから」

「あは、そーだよね。分かるよね…(へ〜、恭一でもバレンタインなんか意識するんだ〜ビックリ!)でも、義理チョコだからね!
ホントだよ!」

「わ、わかってるよ!」

「あと、たー君にも!ホラ、中学も一緒だから、ヨロシクって意味で、鈴ちゃんと一緒に。」

「ふ〜ん」

「って言うか…あたし、避けられてるみたいだから、仲直りチョコでも渡してみたらって、鈴ちゃんに言われてね…」

「鈴木と仲良いんだな」

「うん。」

「…隆志がさ、俺等と居るから、お前に女友達ができないんだって心配してさ…少し、離れようって…」

「え?」

「で、チョコは?」

「あ、待って、鈴ちゃんが来てからじゃないと」

「なんか腹減っちゃってさ〜俺、だからくれ!」


恭一は、ブランコの仕切りに腰掛けながら、片手はポケットに入れたまま、もう片方の手を差し出した。

「しょうがないな〜!」

チョコを取り出した私は、
その掌にちょんと置いた。

「ありがとう」

「あは、なんか恥ずかしいな〜やっぱり。」

「まあ、な。」


チョコのパッケージをいろんな角度から眺める恭一は、チラッとこっちを見た。

気付いた私は、恭一と目が合うなり

「なーんか、ガラじゃないでしょ?でも、おいしそうだったから、それ!」と、

照れ隠しに喋りだす。