「酔ってるヤツに限って、そう言うんだよ。」

「へへ、じゃあ、酔った勢いで聞いちゃおうかな?」

「なんだよ。」

「ねぇ、今、彼女とか居るの?」

「なんだそれ、いきなり」

「ごまかすな〜!居るの?居ないの?どっち?」

「…居ないよ。」

「え〜!ホント?」

「そんなに驚くことかよ。」

「ちっがう!喜んでんの!ちょうど私も居ないから!」

「ちょうど?」

「そう!だって〜、隆志はずっと誰かさんのことが好きで、私のことなんか、見向きもしないでさ〜。」

(おいおい…酔っ払いさん。)

「ま、私も案外モテるから、なんだかんだ彼氏が居たしさ〜。」

「そ、そうじゃん!」

「でも、いつも心のどこかに隆志が居たの〜!」

「…」

「こうやって、久しぶりに会っても、やっぱり隆志は、私の永遠の王子様なの!」

「はいはい。ありが」

その時、ぶつかる様に、
鈴木の唇が、俺の唇を覆ってきた。

すっかり酔いが醒めた。

酔いは醒めていながら、俺は、
鈴木の口を自分の口でこじ開けると、
舌を入れて絡ませていった。

てっきり、拒まれると思っていたが、
鈴木はソレに応えてきた。

(え?)

自分で仕掛けておきながら、すっかり面食らい、
抱きついてくる鈴木を、穏便に自分から引き離した。