「今、てめーがののしってんのは、俺じゃなくて、未知のことだろうが!」

慶太の言葉に、隆志はハッとした表情を浮かべた。

「じゃあ、てめーは、その恭一って奴になれんのか?」

さらに続ける慶太に、
私も隆志も息を呑んだ。


すると、

「俺は、恭一にはなれない…」

隆志は呟いた。


「だろうな…ウジウジしやがって。俺はなれない!そいつのこと知らないし。ま、なろうとも思わねーけど。…百歩譲って、俺等が上手く行かなくなったとしても、てめーじゃダメだな。」

「なんでだよ!」


私の落としたバッグを拾い、
砂をはらいながら慶太は答えた。

「てめーは、恭一って奴を知りすぎてるから。」

そう一言だけ言って、私の手をつかむと、

「行こ。」と、

公園から連れ出した。



「ごめんなさい。隆志があんな」

「あいつの言ってたことホント?俺と恭一を重ねてたって…」

「…」

「そっか。」

「最初はね!でも、今は全然、似てるとは思ってないから」

「いいよ!…ごめん。ちょっとまだ、ムシャクシャしてっから。」


家の前まで送ってくれると、
そのまま、呆気なく、
慶太は帰って行った。