「やめてよね。」

私は、あえて隆志に言った。

でも、

「みっこ、サーファーなんて軽そうな感じで、おまえ大丈夫か?」

さらに、挑発する隆志。


「そんなの誰が決めたんだよ。」

「図星だから怒んだろ?」

「お願いだからやめてって!」


二人の間に立った私は、隆志の両腕をつかんで、

「ね、帰ろ!」

と、慶太との距離を遠ざけた。

そんな私の腕を、後ろからつかみ、自分の方に引き寄せる慶太は、遂に…

「さっきから何が言いたいんだよ!はっきり言えや!」

冷静では居られなくなっていた。


「言わせてもらうよ。あんたは、恭一の代わりになんてなれねーよ。」


一瞬、3人が静止した。


そして、私のことを一度見て、すぐに隆志を睨みつけた慶太は

「だからどーした。」

一層、低い声で言い返した。

「恭一になんか似てないって言ってんだよ。恭一じゃなければ亡霊でもない!」

とたんに慶太は隆志の胸ぐらをつかんだ。

「ほら見ろ!こんな野蛮じゃないし。」

「やめてよ〜!」

慶太は、つかんでいた右手を強く押してから離し、
よろめく隆志は、それでもなお言い続けた。

「恭一は、自分がののしられたぐらいで、手なんか出さない!」