大学受験を絞りつつある頃、
恭一の三回忌が執り行われた。


恭一との思い出に浸っていた私は、
隆志とふたりで、海岸まで足を運んだ。


昨日の雨が、嘘のように晴れたその夜は、
めずらしく、星がよく見えた。


「見て〜!星がいっぱい〜!」

「…ずいぶん乙女チックなこと言うな〜。どうした?」

「じゃあ、さらに付け加えて…どれがきょーちゃんだろう?」

「キモッ。」

「ちょっとはノッてくれても良いじゃん!」

「じゃあ…どれでもありまっせーん!なぜなら、君の心の中にいるからさ!」

「…キモい〜!」

「ていうか、一周忌に比べると、今日は和やかだったなぁ。」

「ホント。雨もあがって…きょーちゃんのしわざかな?」

「はは。ホラ、星になってねーよ、やっぱ。」

「…隆志だって、同じでしょ。」

「…」

二人はしばらく黙っていた。


「お前さ〜、これから先、恋とかできそう?」

突然、
暗がりで、全くもって見通しの悪い、水平線を見つめたまま、
隆志は尋ねてきた。

「…できるかな〜?」

「へー、するつもりなんだ?」

「でも、ず〜っと先になるだろうな〜。」

「…できなかったら?」

一度もこっちを向かない、隆志の横顔を見ながら

「どうしよっかな〜。」と答える。