「だって、ガキだもん、俺」

「…そこがヨイのかなぁ?いつまでも、やんちゃ坊主みたいなところ!…って言うか、人を好きになることに、結局、理由なんてナイのです!」


そう、私の理想の男性像とは、

幼い頃から見てて、潜在的に組み込まれている、

恭一そのものだった。


好きなタイプが恭一なのではなく、
恭一がタイプなのだ。



それからのふたりはウマくいっていた。


「こんなことなら、早くにこうすれば良かったね」

私が言うと、

「あのタイミングが良かったから、今がこうなんだ」

と、恭一は言う。


そして、お互いの時間があう日は、
ひたすら、恭一のベッドの中で費やした。


そんなことがあってか知らないが、

恭一は最近、めっきりと男らしくなり、

“私の彼氏だよ”と言わんばかりに、
手や腕を絡ませて歩く私は、

日が暮れれば、
時には、路上でもキスをした。


ある日の放課後。

そんな恋愛ボケがたたったのか、

恭一は、陸上部の練習中、
怪我を負った。

右足のハムストリングスの肉離れだ。


私は、なぜか、責任を感じずには居られないでいた。

「なんで、おまえのせいなんだよ!」

呆れた顔の恭一のその足は
それは、痛いたしかった。