わたしは部屋に行く。シャワーも浴び、後は寝るだけ。
廊下がいつもより静かだ。なんだか寂しい。
最近1人でいることが多い。まぁ、いずれ消える身だ。
あまり馴れ合うと別れが辛くなる。ツー・・


あれ?わたし・・・泣いてる?
前までは早く終わりたい、この呪縛から逃れたい一心だったのに・・


ガチャッ。・・・ボンッ。

わたしはベットに身体を投げだす。
そうか・・わたしはこの1年が終わったら消えるのか・・
今年がラストなのだ。3年生が部活を引退するのって
こんな感じなのかな・・・

もう杏南とも会えなくなる、渉とも・・ギーストとも―。


そう考えた瞬間、何かが勢いよく弾ける。

「ぅうっ・・うわぁああん。ぐすっ・・ううっ。」


今まで感じた事のない感情が一気に押し寄せる。
巫女の役目をしている間、『早く終わりたい』とは
思っていたが、『終わりたくない』とは思ったことはない。


消えたくない。いつまでも杏南たちと友達でいたい。
ずっと一緒に戦いたい。学校で他愛もない会話で盛り上がりたい。
でも、何より―、


わたしの存在を忘れないで欲しい。


そのままわたしは泣き続ける。月がわたしを覗き込む。
こういうとき、杏南に笑顔で『大丈夫、傍にいるから』って
言って欲しい。
渉に『頑張り過ぎるなよ?』って頭を撫でて欲しい。


「うわぁぁああん・・あ、・・ん、な・・」

わたしは声が枯れるまで、涙が枯れるまで
泣く、泣く、泣く。
こんなにも泣き続けても涙は枯れないんだね・・
何故か雨が降り始める。わたしの涙のようにスコールみたいに、


わたしは疲れて、意識が朦朧とする。
そのまま深い深い眠りに堕ちる。堕ちる・・・