ディア フレンド

高飛びに見惚れていると紗羅がミニハードルを終えて走って来る。
凄く笑顔でアタシを迎えてくれる。

「待ってたよ!!さて、いきなりだけどタイム計って。先生には許可取ってるから。」

アタシは腕を引っ張られ、1レーン分ちゃんとしたゴムになってるところに連れて来られる。なんか、本格的だな・・・
アタシは軽く準備体操をする。準備体操をしていると女の人がこちらに向かって来る。

「あなたが杏南さんね? 紗羅から聞いてるわ。助っ人で来てくれたんでしょ?」

「ああ、まぁ・・アタシあんまり速くないですよ・・」


「いいの。今年あんまり人数がいないから・・とりあえず100m本気で走って。」

アタシは頷く。幸い、お兄ちゃんが陸部だったためスタートは出来る。
アタシはスタブロをセットする。
それには顧問の先生も驚いていた。変に期待させちゃったかな・・
アタシは1回、流す。知らずうちに陸部の人たちが集まって来ていた。
なんか、緊張する・・アタシは位置に着く。

「行きます。位置について・・よーい、」  バンッ!!!

ピストルの音と共にアタシはスタブロを蹴り上げる。
そして、全速力で走る。周りの声は一切聞こえない。
アタシはタイムを計ってくれてる人のラインまで一気に駆け抜けた。

はぁはぁはぁ・・・100mなんて久しぶりに計ったよ。
タイム何秒だったんだろう? アタシは2年生だと思われる人のところに行く。
その子はタイムに口をポカーンとしている。遅過ぎてかな(笑   


「何秒だった?遅かったでしょ?」


その子は目をパチパチさせながら答える。そんなに酷かった?

「1・・13,83・・・しかもシューズで。」

「えっ? 杏南まぢで?里桜ホントに?」


「はい、ちゃんと計りました・・速すぎですよ・・」

「あらら・・陸部入ってくれない?」

という訳で陸部に入ることになっちゃった。早速、リレーの練習をさせられ、種目を聞かれでいろいろ新しいことのスタートとなる一日になるのだった。

部活が終わり、アタシはぐったりしながら紗羅と一緒に帰る。
紗羅は嬉しそうにしている。アタシはそれと裏腹に疲れてる・・