アタシは自分の部屋を見て度肝を抜かれた。
壁は白くてそれを引き立たせるようなオレンジのベット。
女の子らし過ぎないところがアタシ好みだ。
こんないい部屋アタシが使っていいのだろうか・・・

「杏南。」

不意に名前を呼ばれた。アタシは少しビクッとなってしまった。
有李栖は優しく穏やかな顔でアタシに話し掛けてくれた。

「初めての場所では誰でも失敗するものです。だから、あまり気にしなくても
いいのですよ。明日からお仕事と修行頑張るのですよ。」

凄く温かい言葉だった。正直、初めての場所でドジを踏んでしまったのはかなり
恥ずかしかった。でも、有李栖の言葉で少し楽になることが出来た。
明日から始まる生活、期待と少しの不安がある。
とりあえず、アタシなりに頑張ってみようと思う。

「ありがとう。明日、何時に起きるの？」

「明日は６時起きなのです。わたしも手伝いますです。おやすみなさい・・・」

有李栖は静かに部屋を出る。時計を見るともう１０時だ。
いつもならまだ起きてるところだが、今日は凄く疲れた。
アタシは軽くシャワーを浴びて、部屋着に着替える。
出せるだけの荷物をクローゼットの中に入れるとふと、制服に目をやる。
これが新しい学校の制服か・・・前の学校はセーラーだったからブレザーは新鮮だ。かなり、スカートが短い気がするが・・・気にしないことにしよう。
ガチャッ。クローゼットを静かに閉める。
アタシはベットに横になる。ふかふかして気持ちいい。
携帯を開いてアラームをセットする。６時起きじゃ前と変わんないか。
アタシは茉那にメールを打つ。そして、送信。
そのまま携帯を枕元に置いて、深いまどろみに落ちていく。
明日はどんな１日になるのかと期待に胸を膨らませながら・・・