「朱雀よ、この身体。我に力を貸したまえ、来々!!」

アタシは刃先に集中し、手首を使ってまわす。
すると、朱雀はそれに合わせてクルクル回り始める。そして、狗獣刃の中に取り込まれる。
アタシはその後のことをやっていないが何と無く感じでやってみる。

「炎華狂舞(えんかきょうぶ)!!」

アタシは刃先を標的【ターゲット】に向ける。すると、その刃先から炎が竜巻のように溢れ出し、まるで舞うかのようにがしゃ髑髏を包み、焼く。
まるで地獄の業火の炎に焼かれるかのごとく。
その炎が消えていくとがしゃ髑髏の動きは完全に停止した。

すると、オリークが口を静かに開く。

「浄化して下さい。剣を置いて・・・」


アタシは言う通りにする。そして、両手を前に掲げ、4本の指を交差させる。
すると、自然と呪文が口に出てくる。
自分はこんなの教わってはいない。

「悪しき魂(たま)よ、元いた場所に還りなさい。」

すると、空から眩い光が溢れ、がしゃ髑髏の魂のような光が上に上がっていく。
アタシは自分が何をしたかよく分かんない。
でも、一応空が元に戻ると有李栖がアタシの元に駆け寄ってくる。
凄く嬉しそうな表情だ。

「凄い・・杏南、まだ教えてないのに。初仕事お疲れ様、」


「杏南様、かっこ良かったです!!さすが、うちの主様!」


「アタシ・・」

アタシはふっと意識を失い。全ての力が全部抜けていく。


有李栖side

わたしは有李栖を抱き止める。やっぱ、霊力が足りてないのね・・・
修行をすれば大丈夫だけど・・・
多分、杏南の場合、気絶もあるでしょう。
普通の女の子なのだから妖怪【スポク】を見て平常心でいられる訳がない。

「有李栖様・・・杏南様まだ戦い慣れしていないのですか?」

「まぁ、剣道で培(つちか)った精神力が役に立ったみたい。でも、普通の女の子だから妖怪【スポク】を前にして普通でいるのに限界があった」