ディア フレンド

１０分くらい掛けて屋敷の前まで歩く。
ディフカはとても軽い。だから、苦ではない。
コンコン、ディフカを落とさないようにノックする。
ガチャッ。誰かが開けてくれた。

「杏南・・大丈夫か？すげー音したけど・・後ろのは？」


「ディフカ。泣いちゃって寝ちゃった。ゴメン、悪いんだけど部屋まで来てくれない？」

渉はああとアタシの部屋まで着いて来てくれた。
アタシは両手が塞がっているため、渉がドアを開けてくれた。
そっとベットまで運び、寝かせる。ディフカの目は真っ赤になってる。
悔しかったんだね・・・有李栖に怒られたこと、お姉さんに負けたこと。
何より、自分に負けたことに。アタシはディフカの顔を見つめる。
そして、アタシたちは静かに部屋を出る。

「ねえ。有李栖とお兄ちゃんは？」


「２人で買い物。珍しいよな？」


有李栖も気分転換にお兄ちゃんと行ったのかな・・・
ちょっとアタシも疲れたぁ・・・渉とお喋りでもしようかな。

「渉、ちょっと部屋行っていい？」

「えっ？　ちょ、何で？」


「別に・・・ただ、いろいろ話したいなって・・変なことしないでよ。」

「ああ、でも。流石にその格好は、ちょっと・・・」


そっかアタシ制服だったんだ・・アタシは部屋に戻って上にパーカーを羽織る。
とりあえずこれでいいよね。なんか、雨も降って来ている。
なんか意味もなく憂鬱になってくる。
アタシは渉の部屋に行く。コンコン、ガチャッ。
中は黒っぽいような内装。でも、なんか落ち着く。
ちょっとだるい・・・なんか、何もしたくないような。

「杏南？大丈夫か？顔、真っ青だぞ？・・」

「大丈夫・・・なんか、だるいだけ。霊力使い過ぎたかな・・・」

アタシはふらふらしながら椅子に腰掛けようとするでも、足が上手く動かない。
すうっと力が抜けていく。そして、次の瞬間。
フラッ、アタシはバランスを崩して倒れそうになる。