その人は不敵に笑う。
何故だろう。初めて会う感じではない。
前にも会ったコトがあるような・・
パチン。指を鳴らすと数体の鬼が現れる。
地面から音もなく現れるので一瞬、硬直してしまう。

「いやっ・・離して!」

後ろで声がする。
振り向くと有李栖が2匹の鬼に羽交い絞めに
されていた。
アタシは咄嗟に狗獣刃を構えるが、

「巫女は今は必要ない。
お前の能力が知りたいからな。
1人で倒せるよな?」


「勿論・・キイム!!」


アタシはキイムを呼ぶ。
すると、一瞬でキイムが金色の泡を身にまとい
姿を現す。
アタシは狗獣刃を掲げる。

「百虎よ、この身体に乗り移り、悪魂を滅せよ!」


アタシは呪文を紡ぐ。
キイムはそれと同時に百虎を召喚させる。
金色の泡が現れ、百虎が雄叫びを上げる。
そして、アタシは両手を広げ、百虎をこの身に
取り込もうとする。
百虎はアタシに突進してくる。
すると、すうっと金色の泡になり、アタシの
身体に入っていく。

アタシは両手を鬼の方向に向ける。
鬼たちはアタシが攻撃をするのだと
わかったのか、アタシに襲い掛かる。

するりと避けると狙いを定め、
呪文を紡ぐ。


「壊覇珠裂(かいはじゅれつ)!!」


金色の鋭い槍が膨大な数現れる。
そして、一瞬で鬼たちの身体を
貫通し、鬼たちは次々倒れる。


パチ・・パチ。

「へええ。やるじゃんか。
いきなり百虎使うなんて魅せてくれるじゃん。」


前ではその人が感嘆の声を上げている。
笑顔で倒れている鬼たちを見回す。
なんか凄く舐められているように思える。

「それで・・アタシに何か用なの?」